債務整理を開始すると、原則として債務者は支払を停止し、弁護士が各債権者に対して受任通知を発送することになります。
住宅ローンの残っている自宅がある場合、受任通知を受け取った住宅ローンの金融機関は、ローンを回収するため、債務者の自宅を売却する手続きを進めます。
もちろん、債務整理を行わずに住宅ローンを滞納し続けた場合も、自宅は競売にかけられてしまうことになります。
なお、住宅ローンが無い場合も、自己破産手続きをとれば、債権者への配当金に充てるため、やはり自宅が売却されることになります。
それでは、自宅を手放さないまま多重債務問題を解決する方法は無いのでしょうか。
住宅ローン自体を約定どおり返済することが可能であり、かつ、他の債務についても毎月相当程度の返済が可能であるならば、任意整理を検討します。
住宅ローンはそのまま約定どおり支払い、その他の債務については弁護士が介入し、利息カットや分割払いの交渉を弁護士が行うのです。
これに対し、住宅ローンは支払えるけれども、その他の債務が大きすぎて任意整理が困難な場合、住宅資金特別条項付きの個人再生を検討します。
個人再生は、原則として全ての債務を大幅に減少させる手続きですが、自宅が競売にかけられないようにするため、住宅ローンだけは特別に全額支払うことを認めてもらうのです。
住宅資金特別条項を利用するための条件はいくつかありますが、ここでは、問題となりやすいものを紹介します。
まず、自宅に住宅ローン分以外にも担保権が設定されている場合、住宅資金特別条項を利用できません(民事再生法198条1項但し書き)。
例えば、事業資金のための融資に関しても自宅を担保に入れている場合などです。
また、ご夫婦でそれぞれ住宅ローンの連帯債務者となっている場合、抵当権がどのように設定されているか、不動産登記を確認する必要があります。
夫が住宅資金特別条項付き個人再生を行いたい場合に、妻の連帯債務に関して自宅に別途抵当権が設定されていると、夫単独で申立てを行うことは困難となります。
債務者がその自宅を自らの居住場所として用いていることも、住宅資金特別条項を利用するための条件となります(同法196条1号)。
現在居住している場合だけでなく、将来居住する予定である場合もこの条件をクリアできます。
例えば、単身赴任中であるものの、半年後自宅に戻り、自宅に居住する予定であるという場合も、住宅資金特別条項を利用することが可能です。
これに対し、仕事の関係で現在自宅には住んでおらず、今後も自宅に住むことになるかどうか分からないという場合は、弁護士が詳しい事情を確認した上で、方針を検討する必要が出てきます。
住宅ローンについて滞納していないことも、住宅資金特別条項付き個人再生の方法をとるにあたって重要です。
住宅ローンを滞納していると絶対に利用できないというわけではありませんが、住宅ローンの支払い方法についてリスケジュールなどの必要が生じ、住宅ローン以外の債務の返済にも影響が出るおそれがあります。
できる限り住宅ローンを滞納する前に、弁護士のところへ債務整理の相談に行くことが重要です。
以上のとおり、様々な点を検討する必要はありますが、自宅を手放さずに債務整理をできる可能性はあるのです。
諦めずにまずは弁護士にご相談下さい。
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