自己破産手続について④

 

 近年の札幌地方裁判所の破産実務の運用、及び当事務所で事件処理において行っていることをご紹介致します。

 

~依頼者の配偶者・子供名義の預貯金について~

 近年自己破産・個人再生手続の申立を行うにあたり、裁判所が重要視しているものに申立人以外の「同居の家族名義の預貯金」があります。家族名義の預貯金であっても、預貯金の内容によっては申立人(債務者)の財産と見なされることがありうるからです。

 例えば、自己破産申立をしようとしている夫に専業主婦の妻がいて、妻が夫の収入から毎月妻名義の口座に貯金をしていたとします。この場合、この貯金の原資は夫の収入なので、妻名義の口座に貯金されていたとしても、その貯金は夫の財産であると裁判所が判断する可能性があります。但し、妻が婚姻前から貯蓄をしていた預貯金や、妻が婚姻後も就労しており、妻の収入の中から妻名義の口座に貯金をしているものについては妻固有の財産として扱われますのが原則です。

 子供名義の預貯金についても注意が必要です。子供名義の預金は、夫婦の協力によって形成された財産である場合が普通でしょう。名義人は子どもですが、実質的には親の財産(実質的共有財産)と考えられるので、子供名義の預金は親の財産と見なされてしまうおそれがあります。児童手当の場合も、一度親名義の口座に振り込まれた児童手当は、振り込まれた時点で「親の預金」へと変容し、児童手当を貯金目的で子供名義の口座に移したとしても、それは親の預金を子供の口座に移動しただけで、親の預金であることに変わりはないという考えもありうるのです。但し、第三者(父母以外)から贈与されたお祝い金やお年玉、子供がアルバイトをして溜めた貯金は元々父母が形成した財産ではなく、子供固有の財産となります。

 

 近年、札幌地方裁判所では、家族の財産が誰に帰属するのかを重点的にチェックしています。もし自己破産を考えている場合、家族の財産の原資が自分の収入や児童手当、自分名義の保険の保険金でないかなどをしっかり確認する必要があります。当事務所では、事前に問題となり得る点はすべて事前にチェックする運用としています。

 ご質問等があれば法律相談をご利用下さい。

 

 

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