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消滅時効の法律知識

2015-06-01

借金は、一定期間返済や請求が行われない場合に「消滅時効」により借金の返済義務がなくなる制度があります。
ただし、現在の法律(2020年4月1日民法改正)では、消滅時効の考え方が大きく変わっています。

以下では、最新の民法に基づく時効期間と注意点をわかりやすく解説します。

1. 借金の消滅時効は「原則5年」

2020年の民法改正により、借金の時効期間は原則5年になりました。

■ 民法改正後のルール

債権の消滅時効期間は、

  • 権利を行使できると知ったときから5年(主観的起算点)
  • 権利を行使できる時から10年(客観的起算点)

のいずれか早い方で時効が完成します(民法166条)。

2. もう「商人は5年・一般人は10年」という区別はありません

民法改正前は、

  • 商人の貸付 → 5年
  • 非商人の貸付 → 10年

という区別がありました。

しかし現在は 債権の種類による区別が廃止 され、

すべて原則「5年」と考えればOK

です。

3. 貸主ごとの「今の時効期間」まとめ

旧民法時代と比較しやすいように整理すると次のとおりです。

■ ① サラ金・貸金業者

すべて5年

※会社か個人業者かは関係ありません。

■ ② 信用金庫

以前は最高裁判例により「商人ではない → 10年」でしたが、
今は 一律で5年

■ ③ 銀行

以前と同じく「商人」ですが、今はその区別自体が廃止されたため
5年

■ ④ 住宅金融支援機構(住宅ローン)

以前は10年でしたが、民法改正により
原則5年(ただし保証付や抵当権付は別途の問題もあり得る)

4. 「時効は自動では消えない」—必ず“援用”が必要

時効期間を過ぎても、自動的に借金が消えるわけではありません。

✔ 必要なのは「時効の援用」

債権者へ

「この借金について時効を援用します」
という意思表示をする必要があります。

これをしない限り、いくら時効期間が満了しても借金は消えません。

5. 時効完成後に返済してしまうと「援用できなくなる」

時効が完成していたとしても、そのことを知らずに返済をしてしまうと、

✔ 返済した時点で「時効援用」ができなくなります

(民法147条3項の「承認」に該当)

電話での「すみません、返します…」という発言だけでも
“承認”になり得るため注意が必要です。

6. 消滅時効が「中断」するケース

消滅時効は一定の事由があるとストップし、進行がリセットされます。

民法147条では以下が「時効の中断」とされています。

■ 時効の中断事由

  1. 請求(裁判を起こされること)
  2. 差押え・仮差押え・仮処分
  3. 承認(借金があることを認める行為)

この中でも特に多いのが「承認」。
電話で返済の約束をしてしまっただけでも中断する恐れがあります。

7. まとめ

  • 今の法律では、借金の消滅時効は 原則5年
  • 「商人/非商人」の区別は廃止
  • 銀行・サラ金・信用金庫・住宅金融支援機構すべて原則5年
  • 時効は 自動では消えない
  • 時効成立後でも返済すると援用不可
  • 裁判・差押え・承認で「時効中断」
  • 借金の時効相談は専門家へ早めに

【最終更新日:2025年11月13日】

自己破産手続について

2015-05-26
近年の札幌地方裁判所の破産実務の運用、及び当事務所で事件処理において行っていることをご紹介致します。

自己破産の最大の目的は、裁判所に免責を許可してもらうことです。免責とは「借金の支払をしなくてもよい」という裁判所の決定で、自己破産手続の最大のメリットです。借り入れの理由がパチンコやFXへの投資といったギャンブル行為、遊興・飲食による浪費であった場合には、原則として免責は認めないという法律の規定となっています。もっとも、実際上は免責が許可されないというわけではありません(裁量免責という制度があります)。


もっとも、弁護士に自己破産手続を依頼したからといって、自動的に免責が許可される訳ではありません。弁護士が裁判所に提出する破産申立手続の書面を作成する為には、依頼者の協力が必要不可欠です。特に、「何故借り入れを始めたのか、その時の収入や生活はどのような状態だったのか、どういった経緯で借金が膨らんでいったのか」を裁判所に詳細に説明する必要があり、この経緯は依頼者本人でなければ分かりません。札幌地方裁判所では、この「破産申立に至った経緯」を非常に重要視しております。更に破産申立の際に提出する依頼者や家族の通帳の内容(例:「ATM振込」の支払先、個人名での入出金の内容、10万円以上の入出金の内容)に問題がないかも、非常に厳しくチェックされることになります。


当事務所では、裁判所に申立書を提出する前に、事前に依頼者と直接面談で詳細に事情聴取を行い、電話や文書でのやり取りを通じ、これらの裁判所が重要視している部分を可能な限り解消した上で申立を行っています。当事務所は自己破産事案の取扱実績が多く、依頼者の方を最後まで丁寧にサポート致しますので、お気軽にご相談下さい。

【最終更新日:2025年11月4日】

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