個人再生手続のメリットや個人再生を利用できる方について解説します。
<個人再生のメリット>
【一般論】
このページの目次
・返済金額を大幅に減額した上で、計画的に返済することが出来る
個人再生の大きなメリットは、返済金額を大幅に減額できる可能性がある点です。
返済金額がどこまで減額できるかはケースによりますが、例えば、500万円残っていた債務を100万円にまで減額することができたというような事案は数多くあります。
また、個人再生を裁判所に申立て、再生計画が認可され、確定した後は、再生計画に基づいてきちんと支払いを行えば、利息や遅延損害金が付きません。
いくら返済しても利息が付いてなかなか借金が減らないという事態にはならず、確実に残債務額を減らしていくことができるのです。
・窓口が弁護士となり、貸金業者からの取立がストップする
債務整理に共通のメリットですが、弁護士に依頼した後は、窓口が全て弁護士となります。
貸金業法により、貸金業者は、弁護士から受任通知を受け取った後、正当な理由なく借りた本人へ支払いを請求することができません。
また、裁判所へ個人再生の申立てを行う際にも、裁判所への対応については、代理人である弁護士が窓口となります。
【破産と比較した場合】
・ギャンブルや浪費で自己破産困難な場合も、個人再生によって経済的更生を目指せる
自己破産においては、破産法上、免責不許可事由が定められています。
ギャンブルや浪費がこれに該当し、ギャンブルや浪費が激しい場合、免責不許可となり、自己破産できないおそれがあるのです。
これに対し、個人再生においては、免責に関する判断というものが無いため、このような場合にも個人再生を利用できる可能性があります。
したがって、過去にギャンブルに嵌ってしまい、自己破産も出来そうにないと悩む方も、諦めずに個人再生の方法を検討するべきです。
なお、当然のことながら、個人再生の手続きをとる場合にも、ギャンブルや浪費をきっぱりと止め、現在は節制した生活を送っていることが求められます。
・自宅を手放さなくてすむ
自己破産を行う場合、住宅ローンについても返済をストップしますので、住宅ローン債権者が設定した抵当権が実行され、自宅は競売にかけられてしまいます。
他方、個人再生においては、住宅資金特別条項というものがあります。
住宅資金特別条項とは、債務者の住み処を保護するため、一定の条件の下、住宅ローンについては全額返済することを認め、自宅が競売にかけられないようにするものです。
したがって、住宅資金特別条項を付した個人再生を利用し、住宅ローンについては約定どおり支払いを行って自宅を守り、かつ、他の債務については大幅に減額してもらうということが可能になるのです。
・就業や資格についての制限が無い
自己破産においては、警備員や生命保険募集資格人など、破産手続を行っている間の資格制限が存在します(ただし、免責許可の決定が確定すれば、このような制限は解除されます)。
他方、個人再生においては、このような就業や資格についての制限はありませんので、資格制限を気にすることなく利用することができます。
【任意整理と比較した場合】
・大幅な返済金額の減額
任意整理は、あくまで貸金業者等の債権者との間で任意に和解交渉を行うものなので、利息をカットする程度の減額にとどまり、大幅な元金の減額を求めることは困難です。
他方、個人再生においては、民事再生法に基づき、大幅な返済金額の減額が可能となります。
<個人再生を利用できる方>
【一般論】
・履行可能性
個人再生の利用にあたって最も注意すべきなのは、履行可能性という点です。
履行可能性とは、個人再生の手続きにおいて決定した金額を計画どおりに支払っていくことのできる可能性のことをいいます。
履行可能性の判断において重視されるのは、安定した支払原資があるか否かです。
長年同じ会社に勤めている会社員の方や公務員の方については、安定した支払原資があると言いやすいです。
会社員や公務員であることから当然に履行可能性が認められるわけではありませんが、安定した収入がある場合、個人再生の利用を前向きに考えることができます。
他方、自営業や失業中の方などの場合、支払原資が不明確となりがちなので、注意が必要です。
なお、個人再生においては、通常3年間で支払を完了する再生計画を立てることになりますが、例外的に5年間での支払とする再生計画を立てることもあります。
5年間の再生計画を目指す場合、通常よりも支払期間が長くなるため、履行可能性に関する判断はより厳しくなります。
【小規模個人再生と給与所得者等再生の違い】
個人再生には、小規模個人再生と給与所得者等再生という2つの手続きがありますが、通常は前者の手続きを用います。
給与所得者等再生では小規模個人再生とは異なり、可処分所得の金額を算出し、可処分所得以上の金額を再生計画において支払わなければなりません。
可処分所得とは、収入から税金や生活費を差し引いた金額のことですが、この生活費については生活保護法による保護の基準に準拠することとなっています。
したがって、特に独身のサラリーマンなどの場合、可処分所得がかなり高額となります。
そこで、支払金額が高額にならないようにするため、通常は小規模個人再生の方を利用します。
もっとも、小規模個人再生においては、債権者のうちの半数以上の債権者、または再生債権額の総額の2分の1を超える債権者から不同意があった場合、利用することが出来ません。
したがって、小規模個人再生に反対する債権者が存在し、小規模個人再生の利用が困難な場合には、給与所得者等再生の利用も検討することになります。
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